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2011年09月20日
平和・人権
乘井 弥生

再審・東住吉冤罪事件について 弁護士 乘井 弥生

【事件の概要】

1995年7月22日の夕方、大阪市東住吉区の青木惠子さん宅で、家屋内の土間兼車庫(軽自動車駐車中)付近から出火し、入浴中であった青木さんの長女(当時小学6年生)が亡くなるという事故が発生した。車庫内の車は帰宅途中、満タンに給油した直後に駐車されたものであった。警察は、当初、車庫内に設置されていたガス風呂釜と車とがわずかしか離れていなかったこと、風呂釜の種火が点火中であった等の事実から、車のガソリンが漏れ、種火に引火して起こった火災である可能性に着目した。ところが、その後「保険金詐取目的放火殺人」の疑いを強め、亡くなった女児の母親である青木さんと当時内縁の夫であった朴龍皓さんが共謀して犯行に及んだという予断のもと、放火の物的証拠は全くないまま、同年9月10日早朝、「任意同行」と称して2人を警察に連行した。

同日2人は長時間に及ぶ苛酷な取調べを受け、暴力、脅しといった違法取調べにより精神的に追い込まれ、さらに、互いに相手が「自白」したと嘘の事実を突きつけられた。そして、絶望の中、警察の誘導のままに自白を取られ、逮捕、起訴された。なお、このような経過で作られた自白は「7.3リットルのガソリンを車から抜き取り、床に撒いててライターで放火した」という内容である。弁護人は、自白の任意性、信用性を一貫して争ったが、自白偏重の事実認定のもと、1999年大阪地裁で無期懲役、2004年大阪高裁で控訴棄却の判決が下された。その後、最高裁でも有罪の事実認定が覆されることはなく刑は確定。現在、朴さんは大分刑務所、青木さんは和歌山刑務所で無実を訴えながら受刑をしている。

 

【再審事件で火災実験の新証拠を提出】

2009年に朴さん、青木さんは大阪地裁に再審請求をした。弁護団は燃焼学を専門とする大学教授監修のもと、本年5月20日、土間兼車庫を再現した小屋で、7.3リットルのガソリンを撒き、ライターで火をつけたという朴さんの自白どおりに放火行為を行うことが実際に可能なのかどうかを検証する大規模な実験を行った。

まず、土間兼車庫には火災事故当時に置かれていた車と同種の車を配置し、風呂釜、浴槽、ガレージの傾斜等を忠実に再現した。そして、自白どおりに車の左後方部からポリタンクに入れたガソリン7.3リットルを撒いた。すると、撒き始めて約20秒で気化ガソリンが風呂釜の種火に引火し、小屋はあっという間に炎と黒煙に包まれ、待機していた消防に鎮火を顧まなければ危険な状態になった。

自白どおりの態勢でポリタンクに入った7.3リットルのガソリンを撒くと撒き終えるのに30秒以上かかる。その後、自白で火をつけたとされる位置に移動し、火をつけるという動作をするとさらに時間を要する。ところが、実験の結果、ガソリンを撒き切るまでに種火で引火し、着火の動作に移る前に火の海の状態になってしまうことが分かった。人によって火がつけられる前に火災が起こってしまうのである。この実験によって、自白どおりの放火行為は不可能であることが証明され、自白が全くの虚偽であることが判明したのである。

弁護団は、6月30日、鑑定書を大阪地裁に提出。鑑定人の尋問が今年8月に実施される予定である(当事務所では乘井と髙坂が弁護人として活動をしています。皆様のご支援をお願いします)。

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