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2010年01月30日
仕事・労働性差別・ジェンダー裁判事例
宮地 光子

わが社に女の営業職はいらない? 古典的な男女差別に怒りの提訴! 弁護士 宮地 光子

【営業で17年勤めても、給与は男性の入社1~2年目クラス】

松田安希子さんは、平成2年12月に(株)セルコンテクノスの前身である(株)スペースエイジに入社した。会社は、内装仕上げ工事の設計施工を業務としていた。入社当初は事務の仕事をしていたが、3~4ヶ月した時点で、営業部長から「営業をやってみないか」と声をかけられ、営業に従事するようになった。

営業の仕事は、受注活動から始まり、図面積算、見積書の作成、受注金額折衝、請負契約書締結、現場採寸、現場打ち合わせ、商品の発注、職人との現場打合わせ、現場への商品搬入、現場立会い、現場検査、苦情処理、集金など多岐にわたり、時には、深夜の現場立ち会いもある厳しい仕事だった。しかし松田さんは、この仕事が好きで、施主の信頼も勝ち取って成果をあげてきた。その後会社は、親会社である(株)川島織物セルコン(東証一部上場会社)との合併を平成20年10月に予定して、平成19年8月頃から、人事制度の見直しに着手した。この見直しのなかで、松田さんは、初めて自分の給与に疑問を持つようになった。この時、松田さんに示された給与の等級ランク「Ⅰ―4」は、男性であれば、入社1~2年の社員に適用されるものだった。
思い余って人事部長に説明を求めた。しかし人事部長からは「総合職と地域限定に分かれていまして、女性の場合は地域限定職、いわゆる一般事務の方がそうです。だから松田さんの場合、一般事務職でⅠ-4というランクです」という思いがけない答えが返ってきた。松田さんは「私は、営業で頑張ってきました。一般職であると言われても納得できません。人事部長の説明は、間違っています」と切り返した。しかし人事部長は「間違いじゃないです。そもそもわが社に女性の営業職はありませんし、女性の営業もいません。」と言い切った。

さらに松田さんは、「17年立っても平社員のままで、入社1~2年目の男性社員と同じランクというのは差別されているとしか考えられない」と社長に直訴したが、社長は「会社に対して不満抱えて仕事する必要もないし、さっさと辞めたらすむ話ちがうの。」「みんな我慢して頑張っているんや。あんたひとりが、そんなわがまま言っても、聞ける話じゃない」などと、松田さんの話に耳を傾けようともしなかった。

 

【6度にわたる退職勧奨。退職から提訴へ】

そのうえさらに不利益が待ち構えていた。吸収合併後の(株)川島織物セルコンは、平成21年2月になって、早期退職制度を柱とするリストラ策を発表した。松田さんは、支店サイドの選別では、リストラ対象には上がっていなかった。ところが、合併前のセルコンテクノスの社長が、合併後は(株)川島織物セルコンの専務になっていた。この専務は、リストラ対象者リストに、松田さんが入っていないと知るや、松田さんをリストラ対象とすることを頑なに主張し、その通りにした。セルコンテクノスの時代に差別是正を求めた松田さんに対し、権力をもっての報復だった。

それでも「辞める意思はありません」と言い続ける松田さんに対し、会社は6回にわたる退職勧奨の面接を行い、しかも松田さんが辞めるというまで勧奨を続けると公言した。合併しても何ら変わらず、もはやこの組織の中では、何を言っても無駄だと思い知らされた松田さんは、退職の道を選んだ。そして平成21年11月20日、(株)川島織物セルコンを被告として、金1727万円余りの損害賠償を求めて裁判を大阪地裁に提訴した。「もうこれ以上、何も失うものなどない。同じように差別を受け続けている女性達が、差別是正を求めるのは、わがままなどではなく、当然の権利であると、勇気をもって立ち上がれるように、この裁判に勝利したい」と松田さん。

今どき「女は営業をしていても一般職」という古典的な男女差別を許すわけには行かない。勝利判決を早期に勝ち取って松田さんの思いに応えたい。代理人として、そう決意を新たにしているところである。

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