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2010年01月30日
仕事・労働

「貧困スパイラル」からの脱却を 地域労組おおさか青年部 書記長 中嶌 聡

「女性問題は女性問題にあらず」―原稿依頼を頂いたとき、折角だから女性の労働問題を全面的に紹介しようと考えたが、いざ原稿の内容を考え始めてから何か「違和感」を感じるようになった。それは「女性問題を解決することは、女性だけのためではないのではないか」ということだ。また、こうも考えた。「女性問題の背景には、女性問題だけでないさまざまな問題が共通する“何か”があるのではないか」と。これから、その「違和感」の正体を自分なりに考えた結果を書いてみたい。

「違和感」のきっかけは明確に覚えている。私は08年7月から会社を辞め、大阪で一人から入れる地域労組おおさかの青年部(39歳以下)にて相談を受け、団体交渉し解決している。その件数は24件に及び09年11月末までに17件を解決してきた。この一年間の取り組みを評価され09年11月末、企業内の正社員労働者を主に組織する労働組合に招かれ、青年労働者を中心とする労働の実態やその背景、今後の運動の展望について話すことになった。講演内容を考えているとき正社員労働者の方々に「派遣村に集まったような“村民”をどのように考えてもらうか」が重要だと考えた。「違和感」を持ったのはまさに、このときだった。

当日、レジュメには「『村民』は同情する対象ではなく運命共同体である」と書いた。「村民」は、努力しても報われない“かわいそうな人たち”だから“救ってあげなきゃいけない”対象と考えている限り、労働運動は一歩も進まないと私は思うからだ。しかしながら、このことを真に理解している人は思ったより少ないのではないだろうか。

「同情の対象ではない」とする理由はこうだ。「村民」のようなセーフティーネットにも助けられず、明日生きるためのお金がない労働者が増える→どんな仕事も生きるために受けざるを得ず、低賃金はもとより、違法な働かせ方、果ては仕事内容が犯罪スレスレのようなものでもNoと言えない→Noと言えない労働者が増えることで労働条件が劣化していき、それに支えられて価格破壊がおきる→適正価格の商品が売れなくなる→適正価格を下げざるを得ない→正社員労働者にしわ寄せが来る→サービス残業、有給未取得、社会保険未加入、賃金ダウン、不安定雇用の増加などの全体的労働条件の悪化が拡大する。このような一連の流れによって、結局正社員労働者へ影響してくるのである。反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠氏はこれを「貧困スパイラル」と呼んでいる。以上が「同情の対象」ではなく「運命共同体である」とした所以である。

このような考えに至る過程で、村民も女性差別も障害者問題も外国人労働者問題ももすべて個別の問題とともに、共通する問題でもあることがわかった。それはすなわち、全体の労働条件を低下させるために作られた「仕組み」であるということだ。この共通性が、私に「女性問題は女性問題にあらずではないか」と思わせてくれた「違和感」の正体だった。よって、私たちは様々な「貧困スパイラルの始まり」により敏感にならなくてはいけない。どこかで不当に低い労働条件で雇うことに成功し始めたらそこには、Noと言えない差別的「仕組み」が背景に必ずあり、そしてそれを放置すれば間違いなく「貧困スパイラル」を成長させるからだ。

私たちが目指すのは、最低限の権利(生活できること、子どもを育てること、教育を受けさせること、病院にいくこと等)をも収入や、働き方によって左右されるような「企業一元化社会」から抜け出して、誰もが企業に依存しなくても生きていける社会保障のあり方、労働のあり方、消費のあり方を展望し、そうじゃない状態にNoと言える環境を作っていかなくてはいけないと思う。その目標に一致団結できれば、「貧困スパイラル」は止まり、向上を目指して始まる「ハッピースパイラル」が出現するんではなかろうか。

私たち青年部はNoと言う青年労働者と寄り添い、励まし、ともに闘っている。今の青年は「社会は変えられる」なんて毛頭思っていない。そんな彼らに、「一緒に闘おう!」と呼びかけ団交し、会社にNoと突き付け解決したとき、初めて彼らは「社会は変えられるかも」と思える。この「社会は変えられるかも」を、大事に育てていきたい。社会が変わったときに「なんだか知らないけど変わったね」なんてもったいない。「うちらが変えたった!」とみんなでとハイタッチし合いたい。そしてそれは、「できる」と私は確信している。

【プロフィール】

現在26歳。06年4月外資系人材派遣会社に入社。不安定雇用を生み出す仕事に嫌気が差し2年3ヶ月の勤務を終え08年6月退職。同月に地域労組おおさか青年部副部長就任(現書記長)。以降、「闘う青年部」を掲げ、ボランティアにて大阪における青年による一人加盟の労働組合運動に集中し取り組んでいる。

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