menumenu
電話アイコン

06-6947-1201

受付時間 平日9:30~17:30

お問い合わせ・ご予約はこちら

ニュースレター

2009年08月25日
子ども性被害・セクハラ
髙坂 明奈

近弁連のシンポジウムに向けて <子どもに対する性的虐待> 弁護士 髙坂 明奈

本年11月27日、第29回近畿弁護士会連合会大会人権部門シンポジウムが京都の全日空ホテルで開催されます。シンポの実行委員長は、当事務所の宮地弁護士です。現在、大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山の各弁護士会の弁護士が委員となり、「性暴力事件に関する法的支援の実際と課題」をテーマとし、調査研究を行っています。現在、私は主として子どもに対する性的虐待について調査研究を行っているので、その一部について、ご報告させていただきます。

【1 子どもに対する性的虐待とは】

子どもに対する性的虐待とは何かですが、児童虐待防止法第2条2号は、「保護者が、児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること」と定義しています。しかし、性的虐待とは、広くは、優位な立場にある者がその立場を濫用して相手に性的な加害行為をすること全てを意味します。性的虐待の加害者は親やそれに代わる保護者だけではなく、兄弟姉妹や親戚、教師、知人、友人、近所の人、母親の交際相手、習い事の先生、児童養護施設などの職員、さらには見知らぬ人であり、それらの人からの加害行為も性的虐待となります。

【2 虐待者に対する刑事責任の追及】

性的虐待者に対する刑事罰としては、刑法による強姦罪、強制わいせつ罪、児童福祉法違反等があります。性的虐待を受けた子どもにとって、自分が悪かったのではなく虐待者が悪い事を確認し、虐待者を遠ざけるという点で、虐待者に対して刑事責任を追及することは意味があります。しかし、虐待者に対し刑事責任を追及することで子どもの心的外傷化が促進されるという問題も指摘されています。というのも、検察官が虐待者を起訴するには、被害の日時・場所・態様の特定が必要になり、被害児は、警察から被害事実を詳細に聴き取られます。日本の刑法では、被害児が14歳以上である場合、強姦罪や強制わいせつ罪が成立するには、暴行・脅迫を受けたことが必要となるので、反抗を抑圧されたかが問題となり抵抗したか等について質問されることもあります。これほど詳細に聴き取りがなされたとしても、時間の経過で身体的外傷がなかったり、被害児の記憶が曖昧である場合、虐待者が虐待行為を否認している場合などは、起訴されない場合もあります。このような場合、子どもは「何度も嫌な話をしたのになぜ起訴されないんだ。」と強いショックを受けます。

また、起訴され裁判になったとしても、虐待者が虐待事実について否認をすると高い確率で被害児が法廷で証言しなければなりません(被害児が4歳、5歳でも、法廷で証言することを要求される場合があります)。現在、遮蔽措置やビデオリンクの措置を取りうるので被害児が虐待者と顔を合わせなければならないということはありませんが、人前で被害を再度語ること、虐待者の弁護人から反対尋問を受けることが被害児にとっては大きなストレスになります。

【3 被害状況の保全の必要性】

告訴時や裁判時に、被害児の負担を軽くするためには、被害が発見された段階で、医療機関に行き被害状況が保全されること(例えば性器の状態の診察を受け写真を撮っておく)が重要です。また、医療機関に行くことは、性感染症のチェックや予防、妊娠の予防の点からも重要です。しかし、実際は捜査の必要性を意識し、証拠を保全してくれる医師が少ないのが現状のようです。

また、子どもに何度も繰り返し被害を語らせることは、二次被害を生む危険があるので、被害を聴き取る技術を身につけた専門家が被害を聴き取り、それ以上何度も子どもが被害を聴き取られることのないようなシステム作りが必要です。

【4 私たちの意識の持ち方】

性被害を受けた子どもの特徴として、性的虐待の事実を秘密にしようとする、自分は無力だと思っている、加害者を含めた周りの大人の期待・要請に合わせようとする、事実関係と矛盾をした証言をしたり、暴行されたと認めた後でその事実を取り消す(森田ゆり『子どもへの性的虐待』岩波新書参照)などがあります。子どもの被害を発見し、無かったことにしないためには、私たち1人1人が前述したような子どもの反応を自然なものとして受け止め、子どもの話を聴くことが大切です。

このような子どもが性的虐待被害を申告する際に問題がある現状を変えていくためにはどうすれば良いのかにつき、11月27日のシンポジウムでは、弁護士会としての提言をまとめて発表します。関心のある方は、シンポジウムに是非ご参加ください。

Contact Us

お問い合わせ・ご予約

まずはご相談ください。

電話アイコン

お電話でのお問い合わせ・ご予約

06-6947-1201

受付時間 平日9:30~17:30

メールアイコン

メールでのお問い合わせ・ご予約

ご予約フォーム
ページトップへ