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2007年07月30日
性被害・セクハラ性差別・ジェンダー

ポルノグラフィは規制できないか 福島大学行政政策学類准教授 中里見 博(なかさとみ ひろし)

ポルノグラフィをめぐる問題が深刻化している。ポルノグラフィの制作現場は、しばしば合法的に女性を虐待する場になっており、ボルノグラフィは、その使用・消費をつうじて、蔓延する性暴力・性犯罪の原因となっている。ここでいうポルノグラフィとは、女性を従属させる露骨な性表現物のことであリ、典型は虐待を行なう性表現物である。ボルノグラフィは、法的に規制できないのだろうか?ポルノグラフィの法規制は、「表現の自由」の不当な侵害になるのだろうか?

次のように考えてみたい。まず、生身の人間を使う実写のポルノグラフィは、女性が金銭と引き換えに性行為を行なうことによって制作されており、本質的な意味で「売買春」を基礎にして成立している。売春防止法は、性交に限定しているが、売買春を禁止している。カメラを回して売買春の現場を撮影すれば合法になるのはおかしい。しかも、虐待的性行為を行なう実写ポルノは、虐待を受ける人の権利利益(身体、人格、尊厳等)を侵害することによってつくられている。「同意」があっても虐待は虐待だし、権利侵害は権利侵害だ。このように、(少なくとも)実写のポルノグラフィは、「性表現」と一括りにして、偉大な文学作品の性描写などと同列に論じられるべき問題ではないのである。

次に、ポルノグラフィの購入者は、それをどのように使うのだろうか。これはポルノ問題を論じるときにきわめて重要なので、包み隠さず言うが、男性はポルノグラフィを単に見たり、読んだりするのではなく、自慰行為のために使うのである。自慰行為のために使われるとき、ポルノグラフィに収められた性虐待は、使用者によって性的な快楽として全身で肯定される。この点が、ポルノグラフィが使用者に与える影響と、ポルノグラフィではない性表現物が読者に与える影響を決定的に異なるものにしている。ポルノグラフィの使われ方の真相自慰行為をつうじて全身的な快楽として肯定することを真撃に受け止めるならば、ポルノグラフィの日常的・反復的使用が、使用者のセクシュアリティや性行動に影響を与えないことなど考えられない。ポルノグラフィに記録された性虐待を快楽として全身で肯定することを継続的に反復すれば、生身の女性との関係においても虐待的な性行為に快楽を感じるようになることは自明であろう。こうして、性虐待の記録(ポルノグラフィ)を日常的・反復的に使用する男性によって、周囲の女性に対するさまざまな性暴カ・性犯罪・性虐待(DV、セクシュアル・ハラスメント、痴漢、子どもの性虐待、強姦、強制わいせつ、等々)が行なわれていると考えられるのである。

性暴カを減らし、男女の真の平等を実現するために、ポルノグラフィの法的規制を真剣に検討することが、今ますます必要になっていると思う。
※新たな法規制論を含む、以上の議論のより詳細は、拙著『ポルノグラフィと性暴力新たな法規制を求めて』(明石書店、2007年3月刊)を参照していただきたい。

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