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2006年01月30日
平和・人権
有村 とく子

今、守るべきもの–平和的生存権— 弁護士 有村 とく子

9・11事件以後、イラク戦争や各地で起きるテロ事件など不穏な出来事が続くなかで、また新しい年を迎えます。次の世代の人たちに平和のバトンを渡せるように、この日本を「戦争をしかける国」にしないために、私たちは「非暴力」の思想で手をつなぎあいましょう。

中学生のとき、教科書に載っていた日本国憲法の「前文」を暗記する宿題が出ました。「前文」は文字通り、日本国憲法の「本文」(人権規定・統治機構に関する規定など)の前に付いている格調の高い文章で、我が憲法の目指す究極の価値(個人の尊厳)を明確に宣言したものです。

当時最も感銘を受けたのは、「前文」の第2段落にある、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」という言葉でした。戦後60年もの間、我が国がとりあえず平和でいられたのは、憲法が前文で平和主義を高らかに謳い、本文の9条1項2項でしっかりと戦争への歯止めをかけて、私たちを守ってきたからです。

ところが今、この平和憲法が徐々に変えられようとしています。2005年10月28日、自由民主党は「新憲法草案」を発表しました。この草案は、今の憲法「前文」にある、「再び政府の行為によって戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、」という過去の戦争への反省を示す言葉を削ってしまい、平和的生存権についての言及もなくしてしまいました。その一方で、「日本国民は、帰属する国を…自ら支え守る責務を共有し、」という言葉が新たに加わっています。一見、悪くない言葉にみえますが、その真意は、国民に「国を守る義務」を課し、ひいては「徴兵制」への道を拓くというところにあります。草案の「9条」は、現行憲法の9条の第2項(戦力の不保持)を取り払い、場合によっては国会の承認なしに「自衛軍」を出動させることをも可能にしているのです。

女性天皇を認めるかどうかという問題よりも、憲法のどこがどう変えられようとしているのか、それは誰のため、何のためなのかを私たちは今しっかりと見極める必要があると思います。そして、戦争につながる動きに対しては、「あかん!」(=「いけない」、「だめだ」)ときっぱり反対しましょう。さもないと、知らぬ間に徴兵制が敷かれ、気がつけば老いも若きも戦争に駆り出され、自由にものが言えなくなる時代がまたやって来ます。韓流ドラマもお笑いも、世の中が平和であってこそ楽しめるのではないでしょうか。

 

幼子が明るくはしゃぎまわる姿を見るにつけ、戦禍のなかの子どもたちを想います。一日も早く、爆弾の落ちる心配がなくなり、痛い思いやひもじい思いをしないで、どうか安心して暮らせる日が来てほしいと願ってやみません。平和を脅かすものに対して、私たち女性はもっともっと敏感でありたいものです。

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