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2004年08月10日
結婚・離婚平和・人権
雪田 樹理

憲法24条が危ない 弁護士 雪田 樹理

憲法24条は、婚姻や家族に関する「個人の尊厳」と「両性の本質的平等」という基本原則を定めています。憲法が制定されて58年が経過した今、私たちは、家族一人一人の人権が尊重されるべきであること、男女(夫婦)が平等であるべきことを当然のことと考えて生活しています。現実には、家庭の中での人権や平等が保障されているとは言えないことがまだまだ多いのですが、憲法24条は、DVなどの家庭内における性差別的なカによる支配を排除し、暴力や虐待のない、一人一人の人権が尊重される理想的な家族のあり方を示しています。

ところが、昨年来、自民党の改憲案や読売新聞社の改憲試案、そして、今春に出された衆参両院の憲法調査会の最終報告では、憲法24条を変えようとする提案がなされています。個人よりも家族を重視することが必要だとして、「家族の尊重や保護」を憲法に盛り込もうというのです。

読売改憲試案では、離婚や単身赴任、家庭内暴力の増加、老老介護、子どもの不登校などの家族を取り巻く様々な問題が噴出しているが、その背景は「戦前の家父長制への反省から「個人主義の重要性」が過度に標榜され、従来あったよき家族関係まで否定されてきたことにある」としています。

しかし、実際に、私達が、日々、DVや虐待の事件に接するなかで見えてくるのは、決して「行き過ぎた個人主義」ではありません。むしろ、男性中心の根強い性別役割分担による家族観や、子どもは親の所有物、支配物といった伝統的家族観が、これらの問題の背景にあるのです。伝統的な家族観のもとで、どれだけ多くの女性や子ども達が犠牲となり、虐げられてきたことでしょう。

改憲論者が「家族の保護」という、一見すると誰もが賛成しそうな言葉を使って、必死に守ろうとしているものは、憲法24条とは正反対にある伝統的な家制度や性別役割による家族のあり方のようです。

自民党は、「国民の責務」を新しく追加すべきであるとして、「国民は夫婦の協カと責任によって自らの家庭を良好に維持しなければならない」、「親を敬う精神を尊重しなければならない」などの「家庭等を保護する責務」を提案し、同時に「国防の責務」や、納税の義務に加えて社会保障制度の保険料などの「社会的費用を負担する責務」などを提案しています。

すなわち、憲法24条を変えようとする考え方は、憲法9条を変えること、そして、憲法25条が保障する生存権、つまり社会福祉制度を後退させることと一体のものなのです。改憲論の考えは、「個人は家族のために」、「家族は社会や国家のために」といっているのです。国民は、国の福祉に頼ることをやめて、家族が相互に助け合いましょう、有事の際には、男はお国のために戦い、女はしっかりと家を守りましょう、そんな社会の実現を狙っています。

家庭を保護する責務によって、自由に離婚ができなくなるかも???一みんなでNOの声をあげて、改憲をストップさせましょう。

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