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2004年01月20日
子ども

思春期という迷宮-子どもの心理を理解するための小さなヒント- 山中臨床心理研究所代表 臨床心理士 山中祥匡

あるお母さんからこんな相談を受けたことがある。その方の息子さんが、ある日こんなことを口にしたのである。「お母さんはええなあ。好きなこと(思った通りのこと)が言えてええなあ」。お母さんが、「あんたは思ったことが言われへんのか?」と尋ねると、「僕は頭の中で、こんなこというたらおかしいかなあ?あんなこというたら笑われるかなあ?って考えてたら、もうどうでもええようになってきて、黙ってしまうねん」。

この息子さんはとくに問題行動があったわけではないが、お母さんはこのままでよいのだろうか、何か対応をしてやる必要があるのではないか、と不安になられて相談に見えられたのだ。それまでの生育歴や家族の関係、他に息子さんのことで気になることがないかなどをお聞きした。とりあえずは、人の評価に対して少し過敏なところはあるものの、それが母親の対応から来るものというよりは、この場合本人の気質的なもの(生まれながらに持ち合わせたもの)ではないかと思われた。しかし、こういった話を親とできていることは、なによりも彼にとって大きな救いではないだろうか?彼が今後も、自分の気になったことや不安になったことをお母さんや身近な大人に相談し、その局面をしっかりと対応してもらえれば、大人への信頼は深まり、彼の自信になるであろう。いろいろな学校を廻っていると、自分を表現できずに悩んでいる子どもたちがいかに多いかに驚かされる。そして、それが人間関係のまずさにつながっていることが多い。先日、ある高校のイベントで何名かの高校生と対談したときに、「僕」と同じ目線に立って「僕」を理解してくれた大人がいてくれたことが、一番の幸せだったと言った生徒がいた。また、「私」の後ろ盾になって「私」をしっかり支えてくれた友人や大人がいたからこそ、いじめられている友人を守ってあげることができたと話してくれた生徒もいた。彼らは一様に「関わってくれた大人たちが、自分たちを一人の人間として扱ってくれた」ことに大変感謝していた。子どもたちが真剣にぶつけてきた心に対して、ともすれば我々はありきたりの言葉で返してはいないだろうか。通り一遍の返答は相手の心には響かない。それは返答の内容を予測されているからである。子どもたちの多くは、その人の言葉で語ってくれることに新鮮さや親近感を覚えたりするのである。そしてそうした関係が、子どもたちの内面を育てることにつながるのではないだろうか。

思春期まっただ中にいる子どもたちは、大きく心を揺さぶられながら大人になるための修行をしているようなものである。修行には、やはりよい師匠が必要である。よい師匠とは、自分のコピーを作るために細かいところまで矯正をする人ではない。弟子の良さを知り、それを伸ばしてくれる人ではないだろうか。相手の良さを知るためには、相手の話に耳を傾けることが一番であるとわれわれカウンセラーは知っている。相手の良さを知り、そしてその時々の局面でしっかりと向き合い、一人の人間として関わっていく。

そうしたことを子どもたちの目線でできたら、少し彼らの心が見えてくるかも知れない。ところで、前述のお母さんの息子さん。みなさんは何歳だと思われます?彼は当時、幼稚園の年長組に行っていました。

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