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2005年01月30日
性差別・ジェンダー

ジェンダー・バイアスから解放された家族を目指して 天理大学人間学部総合教育研究センター教授 浅川 千尋(あさかわ ちひろ)

大学で、「心と家族」というテーマでリレー形式の授業を担当している。筆者は、ジェンダーの視点に基づいて、家族における人間関係のあり方や家族に関する法を検討してしいる。その内容を中心にまとめた著書が、浅川千尋・千原雅代・石飛和彦著『家族とこころ一ジェンダーの視点から』(2005年4月、世界思想社)である。

筆者の立場は、社会的・文化的・心理的性差(=ジェンダー)に基づく偏見・固定観念=ジェンダー・パイアスにとらわれない、そこから解放された人間関係を家族においても形成していくことが現代家族で求められるというものである。たとえば、夫婦間での性別役割分担の固定化や「夫(妻)らしさ」の絶対化からの解放を説いている。

近代家族は、愛情に満ちた強い絆で結ばれた「愛の共同体」であると考えられてきた。しかし近年は、熟年離婚やドメスティック・バイ才レンス、児童虐待などのさまざまな問題を内包した存在であることが明らかになってきた。「愛の共同体」言説は、幻想であり欺日萬性に満ちており家族をめぐり生じてしいる問題を隠蔽する機能を果たしてきた。

最近の意識調査では、性別役割分担の固定化に疑間を持つ人々が増加しているが、実際の夫婦ではなかなかこの固定化から解放されていないと思われる。それよりもむしろ、「男は仕事・ちょっとだけ家事・育児、女は仕事も家事も育児も」という新たな言説が通用しているのではないだろうか。いくら意識のうえでは、「家事・育児の公平な分担、夫婦の共同参画」と思っていても、実際にはそれを実現しにくい現実・社会構造が存在している。

このような問題は、社会構造上の問題を解決することなく、意識だけの問題として扱っているだけでは解決しない。つまり、たとえば性別役割分担の固定化は、それを生み出している社会構造を変革することなく、単に人間の「意識や心のあり方」の問題としてだけ捉えていては解消されないのである。男女共同参画社会基本法は、そのような社会構造を変革するための法制度の1つとして位置づけられるのである。この法律は、憲法第13条、第14条、第24条で定められている両性の本質的平等、個人の尊重・尊厳という理念を具体化するものである。

憲法上の理念に基づくヅェンダー・バイアスから解放された人間関係を家族において形成することにより、家族は、真の意味での「愛の共同体」として再生される可能性があるのではないであろうか。

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