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2004年08月10日
仕事・労働裁判事例
宮地 光子

国際社会からもらった勇気ー住友性差別訴訟が問いかけたもの 弁護士 宮地 光子

本年の新春早々「女性2人の昇格で和解」「勝訴超える和解」「一審覆した固い決意」などの大きな見出しで、住友壷工性差別訴訟の高裁での勝利和解が報道された。

住友電工性差別訴訟の原告たちが、同じ住友グループの住友金属・住友化学の女性たちと共に裁判に立ち上がったのは、1995年8月のこと。働きながら企業を相手に裁判するという大それたことに彼女たちが挑戦することになったのは、私の向こう見ずのアドバイスと「国際社会」からもらった勇気に後押しされてのことだった。

提訴に先立つ1994年1月、彼女たちは、ニューヨークで開かれた「国連女性差別撤廃委員会」(CEDAW)に向けて職場の差別の実態をレポートし、委員たちにロビー活動を行った。日本では、企業にも労働組合にも、相手にしてもらえなかった彼女たちだったが、「国際社会」では温かく歓迎された。逆に日本政府は、CEDAWから「均等法が導入されているのに差別が続いている。政府は民間企業に均等法を守らせ、間接差別をなくすための措置をとること」と勧告された。国際社会から、「あなたたちは間違っていない」と励まされて、彼女たちは裁判に立ち上がった。

ところが2000年7月31日に大阪地裁が出した一審判決は、男女別コース制を、憲法14条の趣旨には反するが、昭和40年代においては公序良俗に反しないと原告の請求を全面的に棄却した。

しかし時代の流れに逆行する司法の判断に世論は厳しかった。原告や原告を支援するワーキング・ウィメンズ・ネットワークは、諦めないで日本の企業や司法の現実を「国際社会」に訴え続けた。その甲斐あって、昨年8月にCEDAWは「条約に関する認識、特に間接差別の意味と範囲についての認識を向上させるためのキャンペーンを、とりわけ国会議員、裁判官および法曹関係者一般を対象に行うこと」と日本政府に勧告した。それから4ヶ月後の昨年12月24日、大阪高裁民事14部の井垣敏生裁判長のもとで、原告一人あたり500万円の解決金と管理職相当資格への昇格を実現する和解が成立した。和解成立の鍵となったのは、格調高い裁判所からの和解勧告文だった。

いわく「国際社会においては、……男性と女性が共に力を合わせて社会を発展させていける社会こそが真に求められている平等社会」であり、「過去の社会意識を前提とする差別の残滓を容認することは社会の進歩に背を向ける結果となる」。そして「現在においては直接的な差別のみならず、間接的な差別に対しても十分な配慮が求められている」と。

そして半年後の本年6月29日、今度は、住友化学性差別訴訟において、会社に対し原告一人あたり500万円の解決金を払わせる勝利和解が大阪高裁で実現し、住友電工の勝利和解の流れを確実なものにした。次は住友金属性差別訴訟の勝利解決を実現して、男性と女性が共に力を合わせて発展させていける「平等社会」への扉を開きたい。

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