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2017年01月11日
結婚・離婚
有村 とく子

「少子化」を「結婚」応援によって食い止める、それってどうなん?  【弁護士 有村とく子】

【「結婚応援フォーラム」が全国規模で!?】

「超高齢化問題」と「少子化問題」は我が国でも大きな社会問題となっている。インターネットで内閣府のホームページを開くと、「少子化対策」の頁に、我が国の人口は平成17年に減少局面に入り、少子化問題は、社会経済の根幹を揺るがしかねない、待ったなしの課題だ、子どもは社会の希望であり、未来の力だ、次代の社会を担う子どもを安心して産み、育てることができる環境を整備し、子どもが健やかに育つことができる社会実現のために、内閣府は、総合的な少子化対策に取り組んでいる、とある。その一環として、「結婚応援フォーラム」なるものが全国規模で取り組まれ、昨年(2016年)10月には、「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」が立ち上げられた。

日本では、例えば30歳から34歳までの男性の未婚率は、1920年に8.2%であったのが、2010年には47.3%に上がり、女性のそれは、1920年に4.1%であったのが2010年には34.5%にまで上がった。独身者で「恋人あり率」は、18歳から35歳までの男性では25%、女性は35%だそうだ(国勢調査)。

NPO全国地域結婚支援センターの理事も務めておられる山田昌弘中央大学教授によれば、現代日本の未婚化の背景には、①経済不安の高まり(若者、特に男性の経済力の低下、男性が経済的に扶養するものという意識、つまり⦅専業⦆主婦志向が強く残っている、親と同居している女性は収入が高い男性が現れるのを待っている、男性は自分の収入でもOKと言ってくれる女性を待つか自分の収入が高くなるまで待つ)、②出会いの減少(正社員の長時間労働、非正規化で人の入れ替わりが激しく正社員との交流がない、長期間ゆとりを持って親しくなる機会の減少)、③恋愛へのあこがれの消失(恋愛結婚してるはずの親がラブラブではない、恋愛するのは面倒という考え)があり、結婚支援の課題は、これらをすべて反転させる必要がある、とのことである。

 

【大切なのは、ひとりでも機嫌良く生きられる人を増やすこと】

確かに、山田教授の「未婚化の分析と課題」には、なるほどと思うところが多い。

しかし、国が少子化対策として、国民の「結婚の希望を叶える環境整備」と銘打って婚活を進めることには、胡散臭さを感じる。少子化対策というならば、まずは、大人が子どもを安心して育て、働き続けられるように、質の高い保育内容を実践する保育施設等を増やすための予算配分を行うことのほうが先ではないか。政府は、「駆けつけ警護」のためなら、憲法を無視してでも、国外の紛争地域へ青壮年を送り出している。なんかおかしい。

少子化対策への取り組みは、「本気」なのだろうか。

大切なのは、ひとりでも生きていける力をしっかりと身につけられるための「教育」を受ける機会が保障されることであり、出自や性別にかかわらず、精神的にも経済的にも自立して、機嫌良く生きていける人を増やすことだろう。そういう人が増えて繋がり合い、支え合えれば、「お世話をする人」と「お世話になる人」の数のバランスはある程度保たれるだろうし、少子化や高齢化をそんなに怖がらなくても良いのではなかろうか。所得の再分配を適正にして、貧困層が薄くなるよう税制の見直しをし、社会福祉の充実に向けた予算配分が実現される社会の到来を切に願う。今年も自分の活動領域で、できることから始めたい。

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