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ニュースレター

2017年01月11日
仕事・労働性差別・ジェンダー
宮地 光子

男女平等ランキング――日本が過去最低の理由  【弁護士 宮地光子】

【「所得格差」が75位から100位に急落】

昨年10月に報道されたところによると、世界各国の男女平等の度合いを指数化した世界経済フォーラム(WEF)の2016年版「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本の順位は調査対象144カ国のうち111位であった。2015年より10位も後退し、過去最低の水準で、項目別では「所得格差」が75位から100位に急落していた。これはWEFが収入の比較方法を改め、主に先進国で過小評価していた所得の差を実態に近づくように修正し、順位に反映したためと言われている。

日本の男女の所得格差は、その実態を直視すればするほど、格差の大きいことが世界的にも明らかになっている。そして均等法施行30年を経たというのに、日本の男女平等ランキングは、過去最低に転落しているのである。

 

【果たすべき役割を果たしていない日本の司法】

長年、男女賃金差別裁判に取り組んできた私には、このような日本の現状をもたらした要因の一つに、日本の司法が、本来果たすべき役割を果たしていないことがあると思えてならない。

日本の司法は、男女別コース制など、雇用管理自体が男女で明確に区分されている事案についても、昭和40年代は、性別役割分担意識が強かった時代だから、違法とは言えなかったなどとして、女性たちへの救済を拒んだ。しかし裁判に立ち上がる女性たちが相次ぐなかで、平成11年施行の改正均等法施行後も、なお男女別コース制を維持することは違法であるとする判決も現れ、男女別コース制が違法であることが定着していった。

しかし今もなお、男女賃金差別事件において、女性たちが救済されない壁として残っているのが、人事考課に基づく職能給による差別である。2013年の夏号のニュースレターで紹介させていただいた中国電力事件が、職能給による男女差別の事案であった。この事件で2013年7月になされた広島高裁の判決は、会社のジェンダー・バイアスに満ちた人事査定を無批判に受け入れ、原告の長迫忍さんが昇格しないのは、男女差別でなく、人事考課の結果であると判断した。原告の長迫さんは、この高裁判決は不当であるとして、最高裁に上告したが、最高裁は長迫さんの上告を棄却した。

 

【出張させないのは主婦だから】

そして昨年、私が、最高裁の段階から受任した東和工業事件でも、この職能給における男女差別は、地裁・高裁の判決のいずれにおいても全く認められていない。原告の本間啓子さんは、長年、設計職として男性と同じ仕事をしてきたが、2002年のコース別雇用管理制度導入時に、男性の設計職は、全員が総合職に振り分けられたのに、彼女は、一般職に振りわけられた。そして管理職は、本間さんの仕事の幅を狭め、出張をさせないなどの不当な措置をしてきた。管理職は、裁判で、本間さんに出張をさせない理由を尋ねられて、「本間さんは主婦だから」と平気で答えていた。

こんな会社の行ったコース別管理の導入であったから、金沢地裁も名古屋高裁金沢支部の判決も、会社が本間さんを一般職に振り分けたことについては、本間さんの技能レベルが低いから一般職にしたとする会社の主張に合理的な根拠はなく違法であるとし、基本給の年齢給部分については、会社に差別の是正を命じた。

ところが基本給の職能給部分については、本間さんの仕事ぶりについて、図面作成について応用が効かず、細かく指示を与えないとできないなどとする会社の主張をまるのみして、男女差別を認めなかった。その理由として、高裁判決は、人事考課は企業の裁量に基づくものであることをあげている。

企業の裁量を理由に、人事考課の不合理性やジェンダー・バイアスに踏み込もうとしない司法では、男女の所得格差は、温存され拡大されていくことだろう。

しかしそうさせないために、諦めない女性たちの闘いが、今も続いている。

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