離婚事件の代理人をしていると、よく、依頼者の方から、「もし、私が死んだら、親権はどうなりますか?」というご質問をいただきます。
離婚の際に、父母のいずれかを親権者と定めた後、その親権者が亡くなった場合でも、他方に親権が移動する訳ではありません。
親権者が亡くなってしまった場合には、裁判所で、「未成年後見人」を選任することになります。
これは、離婚後に親権者が亡くなった場合だけでなく、例えば、結婚している間に、親権者である父母が共に交通事故等で亡くなった場合等も同様です。
未成年後見人は、親権者が日常的に行っていた子どもの身上監護(生活の中での身の回りの世話や教育等)を含め、子どもの財産の管理をしたり、子どもに代わって契約を締結したりといった役割を担います。
未成年後見人については、親権者が、遺言で定めておくことができます。
親権者の家族と同居していたり、頻繁な交流があって、子どもも馴染んでいたりする場合には、家族の誰かに未成年後見人に就任してもらえれば、子どもの環境の変化も少ないため、子どもにとっても安心です。
ただ、実際に、子どもの日常的な監護を行わなければなりませんから、その方が、そのような役割をきちんと担ってくれるか、予め話し合っておく必要がありますし、遺言で定めておいたとしても、その方が断れば、別の方を選任しなければなりません。
遺言がない場合には、未成年者本人や、親族その他利害関係人が、家庭裁判所に申し立て、裁判所に、未成年後見人を選任してもらいます。この時も、就任の意欲のある方(例えば祖父母等)が、自身を未成年後見人に指定してほしいと主張すれば、認められる可能性が高いと思われます。
乘井弁護士が、2022年1月のニュースレターで紹介した、自筆証書遺言を法務局で保管してもらう「遺言書保管制度」も始まりましたので、遺言書の作成へのハードルも低くなりました(https://www.josei-law.com/newsletter/1068/)。
弁護士が遺言の案を作成して、公正証書遺言等にすることもできますし、自筆証書遺言の内容や書き方等についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ、弁護士にご相談ください。
弁護士 角崎 恭子